プロペシアの副作用まとめ:AGA治療を始める前に知っておきたいこと
プロペシアは世界初のAGA治療薬として知られ、薄毛改善に期待できる内服薬として注目されています。一方で内臓や男性機能などにかかわる副作用が発生する例が報告されているため、服用時に起こりうる症状について事前に知っておくことも重要です。
今回は、プロペシアや副作用の症状、服用にあたって注意すべきことなどについてお伝えします。
プロペシアとは?
プロペシアはアメリカのメルク社によって開発されたAGA治療薬です。主成分は「フィナステリド」。フィナステリドにはAGAを引き起こす「ジヒドロテストステロン(DHT)」と結びつく「5α-還元酵素」の働きを阻害する作用があり、薄毛抑制効果に期待できると考えられています。もともとフィナステリドは前立腺肥大に対する治療薬に使用されていましたが、副作用として発毛症状が確認されたためAGA治療薬に使用されるようになりました。プロペシアはアメリカ食品医薬品庁(FDA)の認可を取得しており、今や世界の60か国以上で使用されているメジャーなAGA治療薬です。日本では2005年に万有製薬が厚生労働省より輸入の認可を受け、現在では10,000を超える医療機関で使用されています。
なお、プロペシアの入手には医師の処方箋が必要となります。通販サイトなどを通じて購入することも可能ですが、思わぬ副作用が発生したり、粗悪品や偽の商品が届いたりするリスクがあるためおすすめできません。プロペシアには副作用が起こる可能性もありますので、AGAクリニックで血液検査などのサポートを受けながら服用しましょう。
プロペシアとはどんな薬?危険性はあるの?
プロペシアの副作用と発症率
プロペシアを製造販売しているMSD株式会社によると、プロペシアで副作用が生じる確率は0.5%とされています。比較的副作用が起こりにくい医薬品ともいわれていますが、肝臓や男性機能などに影響を及ぼすケースがありますので注意しましょう。プロペシアで起こりうる副作用として挙げられるのは主に次の8点です。
1.肝臓などの内臓疾患
プロペシアは肝臓で代謝されるため、肝臓が弱ると肝機能に異常をきたしたり、肝障害が起こる場合があると考えられています。MSDの調査によると肝臓への副作用発症率は0.1%となっていますが、肝臓の異常は自覚症状が現れにくいため注意が必要です。肝臓の異変は血液検査によって判明することが多いといわれていますので、定期的な血液検査を受けながら服用し肝臓へのリスクを軽減しましょう。
2.前立腺がん
フィナステリドを長期に渡って摂取すると前立腺がんが発症する確率が高まるという海外の調査報告例がありますが、調査対象者が悪性の前立腺肥大症を患う人に限定されていたことや、国内におけるプロペシア投与量の5倍の量を投与していたことから、一般的なプロペシア使用者とは異なる環境で行った調査であると捉えられています。プロペシアと前立腺との関係でより注意すべきなのは、プロペシアを服用することで前立腺がんの指標を示すPSA値が50%程度低下することです。がん検診などでPSA値を計る際は、正確な数値を知るためにもプロペシアを服用していることを伝えましょう。
3.ポストフィナステリド症候群
ポストフィナステリド症候群はプロペシアの服用を中止した後も副作用が続く症状のことで、PFSとも呼ばれています。PFSの発症には脳内にある神経ステロイドの減少が関わっているのではないかという見解もありますが、プロペシアとPFSの因果関係についてはよく分かっていないというのが現状です。プロペシア以外の原因がある可能性もありますので、PFSと思われる症状が出た場合は放置せず医師に相談しましょう。
4.男性機能への影響
プロペシアの副作用の中には男性機能にかかわる症状も含まれています。主な症状は性欲減退や勃起不全(ED)などですが、MSDの調査によると男性機能に障害が生じる確率は0.2%以下とされています。また、男性機能が低下する症状には加齢やストレスが影響しているケースもあります。あまりナーバスになると症状が悪化する恐れもありますので、心配しすぎないことも重要といわれています。
5.精子への影響
上記で触れた男性機能への影響とも関連しますが、プロペシアを服用することで無精子症や精子量減少・射精障害などが起こる例が報告されており、男性不妊を引き起こす可能性があるとされています。服用を中止すると症状が改善しやすいため、妊活中や不妊治療中の場合はパートナーや医師と相談し、服用を一時的に停止することも検討してみてください。
6.乳房への影響
プロペシアの服用によって乳房が肥大するケースがあるようです。「女性化乳房」とも呼ばれ、男性ホルモンが抑制されて女性ホルモンが優勢になることが原因のひとつと考えられています。1年~3年ほど継続して服用している場合に発症する例が多いため、長期的にプロペシアを服用する場合は注意が必要です。症状が現れた際は医師に相談し、内服量を減らしたり他の薬に変更するなどの対策を行いましょう。
7.抑うつ症状
プロペシアの主成分であるフィナステリドには、前向きな気持ちを引き起こす「神経活性ステロイド」を減らす作用があるといわれており、人によっては内服中に気分が落ち込んだり不眠症になるといった抑うつ症状が発生する場合があります。抑うつ症状は放置すると日常生活に支障をきたす恐れもありますので、症状に不安を感じた場合は医師に相談することをおすすめします。
8.ポストフィナステリド症候群
ポストフィナステリド症候群とは、プロペシアなどのフィナステリドが主成分の内服薬の服用を中止した後も副作用による影響が継続することです。通常であれば、プロペシアの服用を中止して1ヶ月もすれば体内のフィナステリドはすべて分解され、体外に排出されてしまうはずです。そのため、服用を中止して1ヶ月もすれば副作用も現れなくなるのが普通となります。
ですが、プロペシアのようなフィナステリドが成分の薬は、服用中止後も性欲減退や勃起、射精障害が改善されずに継続する可能性がある研究や報告が上がっています。そのため、このポストフィナステリド症候群が問題視されるようになってきました。ただ、まだこのポストフィナステリド症候群に関しては分かってない事も多く、論文なども少ないため確かな事はいえないというのが実情となっています。
8.その他
上記のほか、じんましんやかゆみ、めまいや血管浮腫などの症状が現れる場合もあるようです。服用中に普段と異なる症状が生じた場合は、できるだけ速やかに医師に相談しましょう。
プロペシアの注意事項
プロペシアを利用する際は、女性に使用させない、服用中は献血ができないなどの注意事項があります。ここでは、プロペシアを利用する際に特に気を付けたい項目について4点紹介します。
1.女性や未成年者、子どもは服用できない
プロペシアは成人男性のみが服用できるAGA治療薬のため、女性や未成年者・子どもへの服用は認められていません。誤って使用することがないよう保管方法に注意しましょう。
2.妊娠中や妊娠の可能性のある女性は触ることも禁じられている
妊娠中や妊娠の可能性のある女性については、プロペシアの主成分であるフィナステリドが男子胎児の生殖器などの生育に影響を及ぼす恐れがあるため絶対に使用しないよう注意してください。フィナステリドは皮膚からも吸収されますので、該当する女性が触れることがないよう配慮して管理しましょう。
3.AGA以外の脱毛症には適用されない
プロペシアはAGA専用に開発された治療薬のため、円形脱毛症や抗癌剤などで発症する脱毛症の改善には期待できません。円形脱毛症は皮膚科や専門外来のある病院を受診して治療しましょう。抗がん剤による脱毛については、治療方法や個人差にもよりますが病気の治療が終了して1、2ヶ月程度で毛髪の再生が始まるとされています。
4.献血できない
妊娠中や妊娠の可能性のある女性などの体内にフィナステリドが入る恐れがあるため、プロペシア服用中は献血することができません。献血を希望する場合はプロペシアの服用を一か月以上中止することが必要とされています。なお、誤ってプロペシア服用中に献血してしまった場合は必ず日本赤十字社に連絡してください。
ジェネリックでも同じ副作用?
プロペシアのジェネリック医薬品は、「フィナステリド配合薬」として富士化学工業やファイザー製薬・沢井製薬といった製薬会社から販売されています。一般的には先発品とジェネリック医薬品における有効成分や安全性はほぼ同一と捉えられているため、プロペシアのジェネリック医薬品についても上記で紹介した副作用が生じる可能性があります。なお、国内で認可されたプロペシアのジェネリック医薬品であれば、重篤な副作用に見舞われた場合でも公的な救済制度である「医薬品副作用被害救済制度」を受けることができます。個人輸入などで入手した海外製の医薬品については制度の対象外となりますのでご注意ください。
ジェネリック特有の副作用について
ジェネリック医薬品は先発品と同じ有効成分を同一量配合している医薬品ですが、添加物などについては異なる成分が配合されている場合もあります。人によっては添加物によってアレルギー症状を起こす可能性もあるため、ジェネリック医薬品を服用する際は有効成分だけでなく添加物などによる副作用が発生するケースがあることも留意しておきましょう。
ミノキシジルとプロペシアの副作用の違いは?
ミノキシジルもプロペシアも、医薬品である以上副作用が起きる可能性は0ではありません。ですが、ミノキシジルはプロペシアと違って男性ホルモンの影響による副作用は起こりません。
例えばプロペシアの副作用は、男性ホルモンの影響によるものがほとんどとなっています。勃起障害や精子の質の低下はもちろんのこと、男性の女性化や鬱(うつ)などの副作用もプロペシアの男性ホルモンへ与える影響によるものです。
一方ミノキシジルは、上記のような副作用ではなく、皮膚への症状が主なものとなっています。また、もともと高血圧の薬ですから頭痛やめまいというのもミノキシジルに多く見られる副作用と言えるでしょう。このように同じAGA治療薬ですが、肝機能障害など以外はあらわれる副作用にも違いがみられるのです。
まとめ
プロペシアは世界的にも有名なAGA治療薬です。継続して安全に服用するためには、副作用に注意するだけでなく家族や親しい人にも配慮して使用しましょう。プロペシアを正しく使ってAGA改善に活用してくださいね。