後遺症をもたらすポストフィナステリド症候群とは?

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フィナステリド錠を使用してAGAを治療した人の中には、服用を中断した後でも副作用が続く「ポストフィナステリド症候群」が起こるケースがあります。通常、副作用症状は薬の成分が身体から排出されると消えますが、いつまでも症状が残ると聞くと心配になってしまいますよね。

今回は、ポストフィナステリド症候群の概要や症状、発症の原因や気をつけるポイントなどについてお伝えします。

ポストフィナステリド症候群とは?


ポストフィナステリド症候群とは、フィナステリド錠の服用を中止したあとも服用している際と同等の副作用症状が起きる状態のこと。フィナステリドはAGAを引き起こすジヒドロテストステロン(DHT)の生成に関わる還元酵素を抑制する成分で、AGA治療薬「プロペシア」の主成分としても有名です。フィナステリド錠はAGA改善が期待できる医薬品として国内をはじめ100を超える国々で使用されていますが、アメリカの医師らによって「フィナステリド錠の服用で生じた副作用が服薬を中断した後も継続している」という報告がなされ、その後も症例が継続したためクローズアップされるようになりました。日本でも厚生労働省の通達などによって注意喚起が促されるようになり、プロペシアや一部のジェネリック医薬品の添付文書には「投与中止後も副作用が持続したとの報告がある」旨が追加記載されています。

ポストフィナステリド症候群はどんな症状?

ポストフィナステリド症候群では、フィナステリド錠を服用した際の副作用症状が数年単位で継続すると考えられています。特に代表的といわれているのは次の2点の症状です。

1.男性機能の低下

フィナステリド錠の副作用のひとつとして男性機能の低下が挙げられています。ポストフィナステリド症候群では、性欲減退や勃起不全といった男性機能に関わる副作用が継続しやすいと考えられています。

2.抑うつ症状

フィナステリド錠の副作用としては稀に起こる程度とされていますが、ポストフィナステリド症候群では報告例が多い症状です。抑うつ症状が服用後に続く原因は明らかになっていないようですが、性機能の減退が精神状態に影響を与えやすい点が関係しているのではないか、という見解もあります。

ポストフィナステリド症候群がおこる原因は?

フィナステリド錠と服用中断後に続く副作用症状との因果関係は、今のところ明確にされていないようです。可能性や仮説として挙げられているのは以下の3つの要因ですが、今後のさらなる研究・調査が待たれている状況です。

1.テストステロンの生成量の低下

そもそもAGAは、男性ホルモンの一種テストステロンが還元酵素5aリダクターゼと結合してDHTに変化することで引き起こされます。フィナステリドには5aリダクターゼを抑制してDHTの生成を阻害する作用がありますが、フィナステリドによってDHTの生成量が減ると一時的に体内のテストステロン量が増加します。フィナステリド錠を飲み続けることで体内のテストステロン量が増え続けることになり、増えすぎたテストステロンとのバランスを保つためにテストステロンの体内生成量が減っていきます。フィナステリド錠の服用を中止すると、再度テストステロンがDHTに変換され始めるため体内のテストステロン量が減少します。本来であれば、減ったテストステロンを補うようにテストステロンの体内生成が再スタートするはずですが、生成量が復活しないために副作用症状が継続するのではないか、という見解があります。

2.ニューロステロイドの生成量の変化

フィナステリドが抑制する5aリダクターゼは、DHTだけでなく他の物質の生成にも関与しています。5aリダクターゼが阻害されることで、ニューステロイド(神経ステロイド)と呼ばれる「テトラヒドロデオキシコルチコステロン」「アロプレグナノロン」などの生成量も低下していきます。ニューロステロイドには精神や気分を安定させる働きがありますが、生成量が減ることで抑うつ症状や気力低下などが生じる場合があり、服用を中断した後もニューロステロイドの生成量が元に戻らないために精神的な症状が消えないのではないか、という説があります。

3.その他

上記のほかに、服用者の精神的な状態が関連しているのではないか、という見解もあります。フィナステリド錠を服用した人の中には、フィナステリドの成分を含まない医薬品なのにフィナステリドを服用した際と同等の健康被害や副作用が出現するノセボ効果が現れるケースがあるようです。また日常的に抑うつ症状があったり、メンタルヘルス面での健康に不安がある場合などはポストフィナステリド症候群発症の可能性が高まる傾向があるともいわれています。

ポストフィナステリド症候群で気をつけるべきポイントは?

ポストフィナステリド症候群は今のところ明確な治療方法が確立されておらず、現時点でも研究が進行中です。はっきりとした情報が少ない状況ではありますが、ポストフィナステリド症候群やフィナステリド錠の服用において気をつけたいポイントを検証します。

1.服用前に副作用やリスクを把握しておく

ポストフィナステリド症候群は気になるがフィナステリド錠でAGA治療をしたい場合は、服用前に副作用やポストフィナステリド症候群が発症する可能性について知っておくことが奨励されています。ポストフィナステリド症候群では精神的な要因も懸念されているため、不安に思う場合は他の治療方法を検討する方法もあります。

2.体調をチェックしながら服用を続ける

クリニックの中には、フィナステリド錠を服用する前や服用後に血液検査をおこない、身体の状態に応じて濃度や投与量を調整してくれるところもあります。フィナステリド錠による健康への影響やポストフィナステリド症候群が気になる場合は、服用中も健康の状態をチェックしてくれるクリニックに通うとより安心して治療が続けられるでしょう。

3.国内で認可されたフィナステリド錠を処方してもらう

現在日本では、フィナステリド錠はドラッグストアなどでは購入できず、医療機関による処方箋をもとに購入する医薬品となっています。個人輸入のサイトなどではより安価な海外製のフィナステリド錠が販売されていますが、偽造品や不純物が多い商品が出回ることもあり、思わぬ健康被害が生じる可能性もあるためおすすめできません。ポストフィナステリド症候群対策のためにも、国内で認可されたフィナステリド錠を処方してくれるクリニックを利用しましょう。

4.気になる症状が起きたら医療機関に相談する

ポストフィナステリド症候群が疑われる場合は、自己判断で放置せず、処方された医療機関や信頼できる医師に相談することが推奨されています。

まとめ

ポストフィナステリド症候群は、フィナステリドによる副作用症状が続く後遺症のような症状です。フィナステリド錠は安全性が高いと評価されていますが、気になる場合は副作用やリスクについて事前に医師と相談したり、状況に応じて投与量を調整してくれるクリニックを利用するなどの対策をとりながらAGA治療に活用してくださいね。