脱毛因子といわれるFGF-5とは?作用を抑える方法と発毛を促進する成長因子

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薄毛には様々な要因がありますが、人体に存在する「成長因子」も抜け毛や薄毛に関与しています。特に最近は、通称「脱毛因子」と呼ばれる「FGF-5」が薄毛を引き起こす成長因子として注目されています。
今回はFGF-5に着目し、FGF-5が脱毛を誘発するメカニズムやFGF-5の作用を抑える方法、発毛を促進する成長因子についての情報をお届けします。

FGF-5とは何か?


そもそもFGF-5とはどのようなものなのでしょうか。FGF-5の「FGF」は「線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor)」を意味します。「線維芽細胞増殖因子(FGF)」は、身体の様々な細胞で作られるたんぱく質「成長因子」のひとつです。「線維芽細胞増殖因子(FGF)」のうち「繊維芽細胞」は皮膚の奥深い場所である「真皮」に存在し、皮膚の弾力を保つコラーゲンや、肌を保湿するヒアルロン酸などを生成する作用があります。線維芽細胞増殖因子(FGF)は線維芽細胞と同じく真皮に存在する成長因子で、線維芽細胞の増殖を促進する役割があります。FGF-5は、そんな線維芽細胞増殖因子(FGF)の一種に該当します。

FGF-5は毛周期を退行期に導く?薄毛を引き起こすメカニズムとは?

線維芽細胞増殖因子(FGF)には線維芽細胞の増殖を促進する働きがありますが、FGF-5の場合は「毛髪周期(ヘアサイクル)を退行期に導いて脱毛を誘発する作用」があります。ヘアサイクルは、毛母細胞が活発になって毛髪が成長する「成長期」、毛乳頭細胞の動きが低下して毛髪が成長しにくくなる「退行期」、毛髪の成長がストップして抜け落ちる「休止期」から成る周期を意味します。通常であれば、毛髪は一定期間の「成長期」を経て「退行期」「休止期」に移りますが、FGF-5には毛髪が育つはずの成長期を退行期に早く切り替える作用があると考えられています。FGF-5が毛乳頭細胞に働きかけることで脱毛信号が出され、この影響によって早い段階で成長期が終わって退行期に移行するため、毛髪が成長しにくくなり抜け毛や薄毛につながります。

FGF-5の対極的な存在?発毛を促す因子FGF-5Sについて

FGF-5のように脱毛を誘導する細胞増殖因子が存在する一方で、発毛を促進する細胞増殖因子も存在します。発毛を促す因子として近年注目されているのが「FGF-5S」と呼ばれる細胞増殖因子です。といっても、FGF-5Sそのものに発毛作用があるわけではありません。FGF-5SにはFGF-5の働きを抑制する作用があるのです。FGF-5の働きを抑えることができれば、ヘアサイクルの成長期が短縮されず毛髪が育ちやすくなります。いわば毛髪の成長状態は「FGF-5とFGF-5Sのバランス状態」によって決まるともいわれており、FGF5がFGF-5Sよりも多くなると薄毛や抜け毛といったトラブルが起こりやすくなります。

FGF-5とFGF-5Sのバランスを保つ方法はあるの?

毛髪をより健康的に成長させるためには、FGF-5の働きを抑制したり、FGF-5Sを増やしたりする必要があります。ここでは、FGF-5を抑制する方法や、FGF-5Sを増やす方法についてみていきましょう。

1.FGF-5を抑制する方法

FGF-5の働きを抑える方法として、FGF-5の抑制が期待できる成分を利用することが挙げられます。FGF-5の抑制に役立つ成分として有名なのは「ビワ葉エキス」や「ワレモコウエキス」です。「ビワ葉エキス」は古くから民間療法に使用されてきたボタニカル由来の生薬で、現在では育毛用品に配合されることが多い成分です。毛乳頭細胞の増殖を促す作用があるほか、最近ではFGF-5の生成を抑える働きにも着目されています。「ワレモコウエキス」はバラ科のワレモコウから抽出したエキスのことで、FGF-5の作用を抑え込む働きが期待できるとして沢山の育毛剤に配合されています。そのほか、ワカメや昆布などの海藻類に含まれる「フコイダン」にもFGF-5抑制効果が期待できるといわれています。また、ある研究ではFGF-5の作用を阻害する人工RNA(RNAアプタマー)が開発され、今後生体内での効果が確認されれば新しい育毛剤の誕生にもつながると期待されています。

2.FGF-5Sを増やす方法

FGF-5Sを増やす方法としては、まずFGF-5Sを活性化する作用が期待できる海藻類を摂取することが挙げられます。また、最近ではFGF-5Sが配合された育毛剤や、FGF-5Sを増やす成分が配合された育毛剤も販売されているため、それらを日常のヘアケアに取り入れるという方法もあります。なお、FGF-5Sが毛髪の成長に関与していることが分かったのは比較的最近のことになります。FGF-5Sの効果など詳細については目下研究中のようですので、今後の動向に注目していきましょう。

FGF-5Sだけじゃない!発毛の促進に関わる成長因子とは

毛髪の成長に良い影響を与える成長因子はFGF-5Sだけではありません。近年は毛髪の成長に関わる様々な成長因子が注目されていますが、ここでは発毛促進に役立つ成長因子を紹介します。

1.FGF-7(毛母細胞成長因子)

発毛を促進する成長因子で、毛髪の育成に関する成長因子の中で特に重要とされています。ヘアサイクルの成長期に関与すると共に、毛母細胞を活発にする作用があります。

2.HGF(肝細胞増殖因子)

細胞を増殖させるほか、毛包や髪の毛を強くする働きが期待できる成長因子です。再生医療分野でも着目されているようです。

3.IGF-1(インスリン様成長因子)

名前の通りインスリンと類似する構造を持った成長因子で、成長ホルモンの分泌によって生成されます。毛髪の成長に欠かせない毛母細胞における分裂を促す作用があります。

4.VEGF(血管内皮細胞増殖因子)

血管に関わる成長因子です。毛細血管に働きかけることで髪に必要な栄養を行き届きやすくする作用に期待できます。

まとめ

脱毛因子と呼ばれるFGF-5は、ヘアサイクルの退行期が来るタイミングを早めて薄毛を誘発します。現在はFGF-5を抑制する成長因子FGF-5Sが注目されており、今後の研究次第ではFGF-5Sをはじめとした成長因子が優良な育毛成分として活用される可能性もあります。ぜひこの機会に成長因子と薄毛の関係についてチェックしておきましょう。