自宅でできるAGA対策
AGA(男性型脱毛症)の対策方法には、生活習慣や食生活など日常の中で取り組めるものもあります。家にいる時間が増えた今(2020年6月現在)、AGA対策を意識して普段の生活を見直してみましょう。
今回は自宅でできるAGAの対策・予防方法として、生活習慣や食生活・頭皮ケアで気を付けるべきことなどについて紹介します。
AGAに悪影響を与える要因
AGAに悪影響を与える要因としてはまず男性ホルモンが挙げられますが、生活習慣や食生活などが関わっている場合もあります。
男性ホルモン
男性ホルモンのひとつテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくことでジヒドロテストステロン(DHT)に変化し、ヘアサイクルが乱れAGAにつながると考えられています。
生活習慣
睡眠やストレス・運動など、日常の生活習慣が毛母細胞の分泌や毛髪への栄養補給などに関係しているといわれています。
食生活
毛髪は様々な栄養素によって生成されるため、食生活が毛髪の成長や頭皮環境に影響を及ぼすと考えられています。
頭皮ケア
皮脂の過剰分泌や紫外線などが原因で毛髪や頭皮に負担がかかり、薄毛につながることがあります。
遺伝
5αリダクターゼの活性度は遺伝によって異なると考えられています。また、生成されたDHTはアンドロゲン受容体で受け取られますが、その感受性は母方からの遺伝が影響するといわれています。
AGAの悪化には様々な要因がありますが、次に生活習慣や食事など日常生活の中で取り組める対策方法についてみていきましょう。
生活習慣で気を付けるべきこと
生活習慣を通してAGA対策を行うためには、睡眠やストレスなどに注意することが鍵となります。ここでは、生活習慣で気を付けたい主な点を4つ紹介します。
1.質の良い睡眠を心がける
毛髪を生成する毛母細胞の働きは成長ホルモンによって活発化されます。成長ホルモンは眠っている間に分泌されるため、質の良い睡眠が薄毛対策に役立つと考えられています。成長ホルモンの分泌量は22時から深夜2時までの時間帯に増加するといわれていますので、可能な限りこの時間帯に睡眠をとるよう習慣づけましょう。また、成長ホルモンの分泌は「深い眠り」とも呼ばれるノンレム睡眠時により活発になると考えられています。ノンレム睡眠にスムーズに入るためには副交感神経を優位にすることが必要なため、心が穏やかになる音楽や香りなどを楽しみ、リラックスした状態で眠りに入ることもポイントです。
2.ストレスをためない
過度なストレスを受けると自律神経やホルモンバランスが乱れ、血流の悪化や血管の収縮が生じやすくなります。毛髪に必要な栄養は血流によって運ばれますので、血流悪化や血管の収縮によって必要な栄養が行き届きにくくなり、抜け毛や薄毛につながると考えられています。趣味に没頭する時間やリラックスできる時間を確保するなど、適切にストレスを発散することも対策のひとつになります。
3.適度に運動する
運動によって血流が促進されると、毛髪の成長に必要な栄養が行き届きやすくなったり毛母細胞が活性化するなどの効果が期待できます。また、運動で汗をかくことでAGAの要因のひとつDHTを排出できるともいわれており、適度な運動は薄毛対策につながると考えられています。特に奨励されているのはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。自宅で行える踏み台昇降運動も有酸素運動に含まれますので、実践しやすい運動メニューを取り入れてみましょう。
4.喫煙を控える
たばこに含まれるニコチンには、毛細血管を収縮させ血流を滞らせる作用があります。血流が滞ると毛髪に必要な栄養が運ばれにくくなり、毛髪を生成する毛母細胞にも悪影響を及ぼすと考えられているため、喫煙を控えることも薄毛対策に役立ちます。電子タバコや禁煙外来などを利用する、禁煙が難しい場合はたばこの本数を減らすなど、可能な範囲で禁煙・減煙につとめましょう。
食生活で気を付けるべきこと
AGA対策の一環として、毛髪や頭皮環境に良い影響を与える栄養素を摂取することが推奨されています。一方で、毛髪に良くないとされている食物もあるため注意が必要です。ここでは、食生活で気をつけたい主な点について紹介します。
1.毛髪に役立つ栄養素をバランスよく摂取する
毛髪に良い影響を与える主な栄養素はタンパク質、亜鉛、ビタミンといわれており、これら3大栄養素をバランスよく摂取することが薄毛対策に役立つと考えられています。
タンパク質
毛髪の9割を構成しているケラチンの生成に不可欠な栄養素で、肉や大豆、卵や乳製品などに多く含まれています。また、毛髪にハリやツヤをもたらすコラーゲンの生成にも欠かせない栄養素となっています。
亜鉛
亜鉛はレバーや牡蠣などに多く含まれる栄養素で、ケラチンの生成に関わったり枝毛を軽減する作用があると考えられています。また、後述するビオチンとの相乗効果で毛母細胞を増殖する働きがあるともいわれています。
ビタミン
ビタミンの中で特に毛髪に役立つといわれているのがビタミンB群です。マグロなどに含まれるビタミンB2はタンパク質の合成に必要とされ、ナッツなどに含まれるビオチンは毛髪の育成に不可欠なアミノ酸の代謝に関わるといわれています。そのほか、ビタミンAにはフケや地肌の乾燥を防ぐ作用、ビタミンEには血流促進や抗酸化作用などの働きが期待できます。
2.オイリーな食事をとりすぎない
油分の多い食事を摂取しすぎると血中に含まれる中性脂肪が増えて血流が滞り、頭皮に栄養が行き届きにくくなるといわれています。また、皮脂が過剰分泌して毛穴の詰まりや雑菌の繁殖を引き起こし、頭皮環境の悪化や薄毛にもつながると考えられています。
3.アルコールを控える
アルコールは肝臓で分解される際に多くのエネルギーを消費するため、その分毛髪に必要な栄養素が運ばれにくくなるといわれています。また、アルコールを分解する過程で発生するアセトアルデヒドは二日酔いの原因になるほか、DHTを増やす作用があるとも考えられていますのでお酒の飲みすぎには注意しましょう。
4.食事時間に注意する
AGA対策のためには、22時から深夜2時までの時間帯に食事をすることは避けた方がいいといわれています。上記でも触れましたが、この時間帯は毛髪の成長に関わる成長ホルモンの分泌量が増加する時間帯のため、食事をすると血流が腹部に集中して頭皮部分に栄養が届きにくくなると考えられています。
頭皮ケアで気を付けるべきこと
AGA対策につながる頭皮ケアとしては、地肌を清潔に保つことや血行を良くすることなどが挙げられます。ここでは、頭皮ケアで気を付けたい主な点について紹介します。
1.地肌を清潔な状態に保つ
頭皮の皮脂が蓄積して頭皮の毛穴が詰まると、雑菌が繁殖して毛髪の成長を阻害したり、臭いや抜け毛などのトラブルにつながると考えられています。洗髪の際には汚れや脂分を洗い流し、地肌を清潔な状態にキープしましょう。全ての皮脂を除去してしまうと頭皮が乾燥して逆効果になる場合があるため、洗浄力がソフトなアミノ酸系のシャンプーなどを使用することが奨励されています。
2.頭皮をマッサージする
頭皮マッサージは地肌のこわばりをほぐしたり血行を促進する働きが期待でき、頭皮環境の改善や薄毛対策にも有効と考えられています。指の腹で地肌を押し込むように指圧するか、頭皮マッサージ用グッズなどを使ってマッサージしましょう。爪を立てたり、強く押し過ぎたりすると地肌に負担がかかるため注意が必要です。
3.紫外線から髪や地肌を守る
紫外線には、毛髪のキューティクルや髪内部のタンパク質を壊したり、皮膚に炎症を起こすなど頭皮や毛髪の健康に悪影響を及ぼす作用があるといわれています。紫外線からのダメージを防ぐためには、帽子や頭皮用の日焼け止めスプレーなどを利用して日頃から対策を行うことが重要です。
上記の方法で遺伝によるAGAも対策できる?
遺伝によるAGA対策については、5αリダクターゼを阻害するプロペシアやザガーロなどの医薬品を服用する方法が一般的のようですが、専門医と相談しながら本人に合った対策を行うことが奨励されています。
なお、薄毛の原因が遺伝によるものかどうかの自己判断は難しく、遺伝であるかを判断できるのはAGA専門医のみという見解もみられます。最近では、毛髪や粘膜などを採取して5αリダクターゼの活性度やアンドロゲン受容体の感受性を調べる遺伝子検査を行っているクリニックもありますので、気になる場合はチェックしてみてください。
AGAの症状がみられたらどうすればよい?
AGAの症状には主に3つの特徴があります。
2、おでこの生え際が抜け始め、M字を描くように薄毛範囲が広がる
3、頭頂部分の抜け毛が増え、全体に広がるように薄毛が進行する
上記の症状はいずれも少しずつ進行していくため、薄毛の悪化を防ぐためには初期段階で対策することが重要といわれています。次に、AGAの症状がみられた場合の主な対処方法について紹介します。
育毛剤を使用してみる
AGAを疑う症状が現れた場合、まず市販の育毛剤を使用するという方法があります。育毛剤の中でも特に有名なのは、発毛効果が認められているミノキシジルを配合した「リアップ」などの製品です。第1類医薬品が販売可能なドラッグストアで購入できますので、まずは自宅でAGA対策をしてみたいという場合に適しているといえるでしょう。
専門クリニックを受診する
AGA治療に特化したクリニックを受診する方法です。AGAの原因は人によって様々なケースがあると考えられており、専門の医師のもとで原因を調べ、本人に合った治療方法を探すことが改善の近道にもなるといわれています。無料カウンセリングを実施しているクリニックもありますので、気軽な気持ちで相談してみましょう。
まとめ
AGA対策の中には、睡眠の改善やストレス解消、食生活の見直しなど暮らしに取り入れられる方法があります。薄毛の進行状態によっては専門医に相談することが奨励されていますが、まずは自宅にいながらできる薄毛対策を試してみてくださいね。