AGA(男性型脱毛症)とは?他の脱毛症(ハゲ)との違いは?
AGA(男性型脱毛症)は成人男性に発症しやすい脱毛症です。脱毛症といえば円形脱毛症やびまん性脱毛症などがありますが、AGAとは薄毛が進行する際の特徴や原因が異なるため、症状をよく確認しAGAに合った治療を行うことが重要です。
今回は、AGAの症状の特徴や他の脱毛症との違い、AGAの予防方法や治療方法などについて紹介します。
AGAとは進行型の脱毛症
AGAはAndrogenetic Alopecia(男性型脱毛症)の略で、成人男性に多くみられる進行性の薄毛・脱毛症のことです。AGAの原因には男性ホルモンが大きく関わっており、国内では成人男性のおよそ25%がAGAを発症もしくは発症の可能性があるといわれています。発症の年齢には個人差があり、30代~50代の中年期にかかる人もいれば10代や20代で発症するケースもあります。現在は専門クリニックなどでの治療が可能となっており、内服薬や外用薬などによる治療が行われています。
AGAの症状は?他の脱毛症(ハゲ)との違いは?
AGAの症状には主に3つのパターンがあります。1つ目は前頭部分の毛髪が薄くなり額が広がるように薄毛になるタイプ、2つ目はおでこの生え際が脱毛しM字を書くように薄毛が進行するタイプ、3つ目は頭頂部分の抜け毛が進行するタイプです。いずれのパターンも少しずつ脱毛・薄毛症状が進んでいくのが特徴的です。
AGA以外にも様々な脱毛症がありますが、いわゆる「ハゲ」と呼ばれてきた脱毛症の原因はAGAであると考えられています。また、びまん性脱毛症や円形脱毛症などの場合は症状の現れ方や原因が異なります。
びまん性脱毛症
広い範囲の毛髪が抜ける脱毛症です。AGAが局所的に進行するのに対し、毛髪全体が薄くなっていくのが特徴的です。どちらかというと女性に多く見られる脱毛症として有名です。
円形脱毛症
文字通り円形状に髪が抜ける脱毛症です。徐々に薄毛が進行するAGAと異なり、突如として症状が現れるという特徴があります。人によっては頭髪だけでなく、眉毛や体毛に及ぶ場合もあります。
粃糠性脱毛症
カサカサとしたフケが大量発生することで起こる症状です。多量のフケが毛穴をふさぐため、菌の増殖や地肌の炎症などを引き起こし、毛根に負担がかかって抜け毛につながります。短く細い毛髪が抜けるAGAと比較すると、太く長い毛髪が抜けるという特徴があります。
脂漏性脱毛症
脂漏性皮膚炎から発症するともいわれている脱毛症で、AGAが主にホルモンの影響で発症するのに対し、皮脂の過剰分泌が原因で起こるのが特徴です。何らかの原因で過剰分泌した皮脂によって頭皮にかゆみや湿疹、老廃物の蓄積や菌の繁殖などのトラブルが発生し、毛根にもダメージが及ぶことで抜け毛が起こりやすくなります。
AGAの原因とメカニズム
AGAの主な原因は男性ホルモンのひとつである「ジヒドロテストステロン(DHT)」です。DHTは、同じく男性ホルモンの一種である「テストステロン」と「5αリダクターゼ(5α還元酵素」が結びつくことで生成されます。DHTにはヘアサイクルを乱す作用があるため、毛髪の成長期が短縮され、毛髪が育つ前に抜けやすくなり薄毛の進行につながります。
また、遺伝もAGAの発症に関係すると考えられています。特に遺伝との関連性が高いと考えられているのは、DHTの生成に関わる5αリダクターゼの活性度や、DHTを受け取るホルモン受容体の感受性などです。
AGAの予防法や対策法
AGAの予防法としては、頭皮のケアをしたり睡眠や食生活に注意することなどが挙げられています。ここではAGの予防に役立つポイントを5つ紹介しますので、できる範囲で普段の生活に取り入れてみましょう。
1.頭皮をケアする
地肌に皮脂が蓄積すると、毛穴が詰まって雑菌が繁殖し薄毛の進行につながる可能性があります。皮脂を除去しすぎると地肌が乾燥してより多くの皮脂が分泌されるため、洗浄力の強すぎないアミノ酸系などのシャンプーを使用して、余分な皮脂のみを洗い流すことがポイントです。頭皮マッサージも役立つといわれています。頭皮を適度に指圧することで凝りをほぐしたり血行を促進する効果や、AGA予防にも期待できると考えられています。
2.質の良い睡眠をとる
毛髪を生成する毛母細胞は成長ホルモンによって活性化されます。成長ホルモンは眠っている間に分泌されますが、最も分泌量が多いのが22時から深夜2時までとされ、この時間帯に質の良い睡眠をとることが毛母細胞の活発化に影響すると考えられています。
3.食生活を見直す
食生活や栄養素もAGAの進行に大きく関わるといわれています。毛髪の構成や健康的な成長に特に必要なのはたんぱく質やビタミン、ミネラルや亜鉛です。タンパク質はアミノ酸を含んだものや、肉類よりも脂肪分が少ない大豆製品や青魚から取り入れるのが望ましいといわれています。ビタミンの中では、ナッツや魚などに含まれるビタミンB1の一種ビオチンが重要とされています。また、ビオチンは亜鉛と共に摂取することで毛母細胞を増殖する作用や、発毛を促す作用にも期待できるといわれています。バランスの取れた食事を心がけながら、毛髪に役立つ栄養素を積極的に摂取しましょう。
4.専門クリニックで検査する
AGA専門クリニックの中には、AGAになりやすい体質かどうかをチェックする遺伝子検査を実施している場合があります。自分の体質を知っておくことで、より適切にAGA対策を行うことが可能になります。
5.その他(生活習慣の改善やストレス管理)
毛髪の成長に必要な栄養は血流によって運ばれます。適度な運動をして血行を促す、血行を滞らせる喫煙をやめるなど生活習慣を見直すこともポイントといわれています。また、過度なストレスによって自律神経が乱れると血流の滞りや血管の収縮が起こり、毛髪に必要な栄養が行き届きにくくなるため、適度なストレス発散も重要といえるでしょう。
AGAを治療する方法と効果実感率
AGAの治療方法には、外用薬や内服薬、注入治療などが用いられます。ここでは、各治療方法の概要と効果実感率について紹介します。
外用薬
頭皮に直接塗布するタイプの治療薬です。特に有名なのは、血行を促進することで発毛を促す効果が期待できる「リアップ」などのミノキシジル配合薬です。あるウェブメディアの調査によるとリアップの効果実感率は75%程度となっています。外用薬は薬局で購入できる場合も多く、手軽にAGA治療ができるという特徴があります。
内服薬
飲むタイプの治療薬です。代表的なのは、DHTの生成に関わる5αリダクターゼを阻害するフィナステリドを配合した「プロペシア」。プロペシアの製造販売を行うMSD(株)によると、その効果実感率は87%程度となっています。また、プロペシアより多くの型の5αリダクターゼを阻害するデュタステリドを配合した「ザガーロ」も注目されています。内服薬の購入には医師の処方箋が必要な場合が多いですが、外用薬と比較すると高い効果が望めると考えられています。
注入治療
発毛や毛髪の成長に有効な成分を頭皮に直接注入する「HARG療法」や「育毛メソセラピー」などの治療方法です。有効成分をダイレクトに取り込めるため、比較的短期間で効果が出やすいという特徴があります。効果実感度はクリニックにもよりますが90%以上となっており、高い改善効果が期待できるといわれています。
自毛植毛
薄毛が気になる箇所に自分の毛髪を植毛する方法で、植毛の定着率は95%以上と考えられています。生着に成功すれば普通の毛髪と同等に成長するほか、自毛を用いるため髪色や質感などに違和感が出にくいという特徴があります。
AGA治療にかかる費用の相場はどのくらい?
AGA治療は、脱毛薬として承認されているアロビックス以外は自由診療となり保険の適用を受ける事ができません。そのため治療方法によって費用は異なりますし、同じ処方薬であってもクリニックによっても費用は違います。
治療施設ごとの相場は、AGA専門クリニックでひと月3万円前後、皮膚科で1万円~1万5千円前後、育毛サロンは半年コースで50万円前後が相場となるでしょう。市販のミノキシジル配合製品は1ヶ月1万円前後が多くなっています。個人輸入の場合は、1ヶ月数千円ともっとも安くすむはずです。
ただ上記は、治療施設ごとの相場となり選択する治療方法によりまた費用の相場は異なります。治療方法ごとの相場なら、外用薬や内服薬の処方は1ヶ月5千円~1万円、クリニックオリジナルの薬では2万円~、メソセラピーは1回5万円~、HARG療法は1回10万円~です。
AGA治療の副作用とは?
AGA治療では、5αリダクターゼ阻害薬では、リビドー減退や勃起不全、精子量の減少や質の低下といった副作用が起きる事があります。ミノキシジルなどの外用薬では、頭皮のかゆみや火照り、湿疹といった副作用の他、多毛などの副作用が起きるという報告がされています。どちらも治療薬との因果関係がハッキリとしている重篤な副作用が起きたという報告はありません。
そのため適切な使用による副作用は極めて少なく、また症状は軽いと言えます。
また、副作用とは少し意味が違いますがAGA治療では開始1~2ヶ月目に脱毛の症状がみられることがあります。
AGA治療について知っておくべき効果や副作用
AGA治療薬の服用ができない人
AGA治療薬が飲めない、もしくは内服薬が苦手という場合は、外用薬や注入治療を利用する方法があります。そのほか、頭皮の炎症や保湿に役立つシャンプーを使用するなど、日常のヘアケアに注意する方法も奨励されています。毛髪に必要な栄養とされるビオチンや亜鉛のサプリメントを摂取して、体内から対策を行うという方法もあります。
成分にアレルギーがある人
治療薬に配合されている成分のいずれかにアレルギーがある場合は服用できません。
未成年や女性
AGA治療薬の多くは成人男性用となっており、安全性・有効性の観点から未成年や女性が服用できない医薬品もあります。例えばフィナステリド錠やデュタステリド錠の場合、男子胎児の発育に悪影響を与える恐れが指摘されており、妊娠している女性や妊娠の可能性がある女性においては服用だけでなく触れることも禁じられています。
内臓疾患がある人
治療薬によっては、重度の肝臓障害がある人や、心臓や腎臓・甲状腺機能に障害がある人の服用を禁じている場合があります。内臓に疾患がある場合は、服用前に必ず主治医に相談してください。
まとめ
AGAは成人男性に多く見られる脱毛症で、ほかの脱毛症とは症状の特徴や原因に違いがあります。AGA治療には外用薬や内服薬を服用する方法などがありますが、予防方法を取り入れて症状の進行を防ぐこともポイントです。自分に合う治療方法や予防方法を探して、AGA改善や対策に役立ててくださいね。