AGAは完治しない!?治療はいつまで続けるべき?
AGA(男性型脱毛症)治療にあたっては、その治療期間や治療を卒業する時期が気になる方が多いと聞きます。また、「AGAは完治しない」という見解もあるため、いつまで治療を続けたらいいのか不安になることもありますよね。
今回はAGAの治療期間に焦点を当て、AGAは完治しないのか、治療をやめたらどうなるのか、一般的な治療期間などについて検証します。
AGAは完治しない?治療をやめたらどうなるの?
AGAの完治については今のところ非常に難しく、どちらかというと「現状より悪化させない」「薄毛の改善を目指す」という考えが主流となっています。その大きな要因とされているのが「AGAは進行性の脱毛症である」という点です。
そもそもAGAは、男性ホルモンの一種テストステロンが5αリダクターゼという還元酵素と結合し、ジヒドロテストステロン(DHT)に変異することで引き起こされます。DHTには毛母細胞の働きを妨げる性質があるため、抜け毛の増加や発毛力の衰えなどを招き薄毛が進行します。
AGAの治療では、5αリダクターゼの作用を抑制するプロペシアなどの内服薬を服用したり、毛根に働きかけるミノキシジルなどを利用して薄毛の改善を目指します。治療を継続している間は抜け毛の軽減や発毛の維持が可能ですが、治療を途中でやめた場合は薄毛の症状が再発し、治療前の状態に戻る可能性が高いと考えられています。
完治できない理由は?
でも、どうしてAGAは完治する事ができないのでしょうか。例えば同じ脱毛症の円形脱毛症などは、完治することは可能ですよね。同じように脱毛を伴うAGAは、なぜ完治する事ができないのでしょうか。
それは、AGAを発症する原因が男性ホルモンにあるからです。
AGAで脱毛が起こり、生え際や頭頂部から薄毛が進行するのはジヒドロテストステロン(DHT)が、毛包に存在しているアンドロゲンレセプターと結びつくためです。また、ジヒドロテストステロンは、テストステロンという男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素と結びつく事により発生する物質です。つまり、AGAが発症する条件は、ジヒドロテストステロンを発生させる5αリダクターゼの分泌量が多いこと、そしてジヒドロテストステロンと結びつくアンドロゲンレセプターの感受性が強いことという2つの条件がそろう事なのです。
現在、こうしたAGA発生のメカニズムを阻止するために有効なのは、5αリダクターゼをフィナステリドなどの成分によって阻害する事だけです。もちろん生活習慣や食生活も多少の影響はあると言われていますが、それだけでは改善する事はできません。そのため、治療を止めて薬を使用しなくなれば5αリダクターゼを抑制する事ができなくなり、ジヒドロテストステロンを多量に生み出し、アンドロゲンレセプターと結びつく事でまた脱毛が起きるという訳です。
つまり、根本的な治療方法がないという事が完治できない理由のひとつとなります。
AGAと男性ホルモンの因果関係について
AGAの一般的な治療期間は?一生続けなければいけないの?
AGAの治療期間はおおよそ6か月程度~1年程度と考えられています。治療の成果が実感できるまでの期間には個人差があり、治療開始後3か月程度で効果を実感するケースもあるようですが、一般的には6か月間継続して治療を続けると薄毛改善や発毛の効果が目に見えて分かるようになるといわれています。発毛の効果が見られたあとは、発毛量の維持を中心とした治療になっていきます。また、AGAの進行に食生活や睡眠などが関わっている場合があることから、生活習慣を改善するなどライフスタイル全体の対策を取り入れることも重要といわれています。
AGAの早期治療がよい理由は?
AGAは早期治療がよいと言われている理由は、進行性の疾患だからです。例えば、AGAが気になり出した現在と1年後では、確実に1年後の方が症状は進行しています。早期に治療をすれば、症状が軽いため、効果もそれだけ早く実感する事ができます。
また、髪の毛は毛母細胞の分裂により作られるのですが、その細胞分裂の回数は一生で50回程度と限りがあるのです。そのため、早期治療はもちろんですが年齢が若いほどAGA治療の効果は出やすくなります。ですから、少しでも早く治療をしてあげることが有効となります。
もし、AGAの発症から時間が経過し過ぎてしまった場合、脱毛期間が長く毛母細胞が死滅してしまった状態では治療の効果もあらわれません。AGAの治療は、弱った毛母細胞を活性化する事はできても、機能しなくなった毛母細胞を復活させる事はできないのです。だから、AGAの治療が効果を発揮しやすい早期に治療を開始する事が何よりも大切になるんですね。
治療をやめるときはどんなとき?
AGAの治療をやめる状態やタイミングは「人によって異なる」というのが現状です。その代表的な理由として挙げられるのは、「発毛に関する価値観や満足度に個人差があるから」という点です。例えば、「抜け毛は増やしたくないが毛髪の量は現状維持で構わない」という人もいれば、「もっと毛量を増やしたい」という人もおり、AGA治療のゴール設定は人によって違いがあります。また、どのような頭髪状態を理想とするかについては、治療を開始した時期の年齢や薄毛の症状・治療に必要な費用などにも影響されるといわれており、治療をやめる際の状態や時期は患者本人に委ねられているという考えが主流となっています。
減薬や通院回数を減らすなど、治療を緩和することはできる?
患者によっては、AGA治療を開始して1年程度から2年程度の間に治療を緩和するケースがあるようです。クリニック側でも、医薬品による身体への負担や費用面などを考慮し、医薬品使用の頻度を減らしたり、症状が安定している場合はオンラインで診療するといった柔軟な対応を実施している場合もあります。一方で、緩和していた治療を再開することもできます。自己判断で治療を軽減すると改善していた症状が悪化する恐れがありますので、減薬や通院の回数を少なくしたい場合はまず主治医に相談しましょう。
AGA治療はあらかじめ目標を決めておく
AGAは完治が難しい脱毛症といわれていますが、治療をいつまで続けるかという点についてはあらかじめ自分でゴールや目標を定めておくことが奨励されています。上記でも触れた通り、発毛の満足度や理想の頭髪状態は患者個人の価値観などに左右されます。「〇歳までは毛量アップを目指す」「加齢に伴って周囲に薄毛の人が増えてきたら治療を緩和もしくは中止する」など、医師と相談しながら自分なりの着地点を決めておくと、より治療に取り組みやすくなると考えられます。
まとめ
AGAは進行する脱毛症のため、現状では改善を目指すという考えが主流となっています。しかしAGA治療の研究は日々続けられており、今後さらに良い治療方法が生み出される可能性もあります。自分なりの目標を定めながら、信頼する医師と共にAGA改善の治療を続けてくださいね。