AGA発症の鍵を握る?5αリダクターゼが多い場合に抑制する食べ物や治療薬は?

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AGA(男性型脱毛症)関連の情報にひときわ多く登場するのが「5αリダクターゼ」です。5αリダクターゼは誰もが持つ体内酵素のひとつですが、AGAが発症するメカニズムに深く関わっている重要な存在です。

今回は、5αリダクターゼとAGAの関係、5αリダクターゼを抑制する治療薬や食物・サプリメントなどについてお伝えします。

5αリダクターゼとは?


5αリダクターゼは体内に存在している還元酵素のひとつです。人体には数千種類もの酵素が存在すると考えられ、腸や肝臓などで生成されて食物の消化吸収や代謝などの生命維持活動に携わっています。酵素はそれぞれが特定の働きを担当するために体内の決まった箇所で活動しており、5αリダクターゼは身体や頭部の皮脂腺に存在しています。

5αリダクターゼには活性度があり、活性度が強いほどAGAになりやすい体質と考えられています。活性度は人によって異なりますが、遺伝の影響を受ける傾向があることも指摘されています。5αリダクターゼの活性度が強い遺伝子を母親と父親のどちらかが受け継いでいる場合、子どもにも継承される可能性があります。

5αリダクターゼとAGA発症の関係


5αリダクターゼはAGAの発症に関与していますが、5αリダクターゼ自体がAGAを引き起こすわけではありません。AGA発症のきっかけとなるのは、5αリダクターゼが男性ホルモンのひとつ「テストステロン」と結合したときです。
テストステロンは男性の筋肉や骨格などの形成や成長に必要なホルモンです。テストステロンが5αリダクターゼと結びつくと、ジヒドロテストステロン(DHT)という強固な男性ホルモンに変化します。このDHTが頭皮の毛乳頭内に存在するアンドロゲンレセプターに受容されることで脱毛を促進する因子(TGF-β)が生成され、ヘアサイクルの乱れや抜け毛・薄毛の進行などの症状を引き起こします。

5αリダクターゼのタイプの違いで薄毛になる場所が違うの?


薄毛に関与する5αリダクターゼには、Ⅰ型とⅡ型の2タイプがあります。

Ⅰ型は身体全体の皮脂腺に存在し、頭部では後頭部分と側頭部分に多く分布しています。5αリダクターゼⅠ型の活性度が強い人は、サイドや耳回り・バック周辺が薄毛になりやすいといわれています。一方、Ⅱ型はヒゲやわき毛・すね毛などに分布し、頭部では頭頂部と前頭部に多く存在しています。5αリダクターゼⅡ型の活性度が強い場合は、フェイスラインやフロント・トップ部分の薄毛が進行しやすい傾向があります。

なお、上記2タイプのうちDHTに変換されやすいのはⅡ型だとされています。AGAが頭頂部と前頭部を中心に進行するケースが多いのも、Ⅱ型の代謝力の強さが要因と考えられています。

5αリダクターゼを抑制する治療薬


AGA治療の中には、5αリダクターゼの働きを抑える治療薬を服用して薄毛を改善する方法があります。

5αリダクターゼを抑制する治療薬は、「フィナステリド錠」と「デュタステリド錠」です。双方とも5αリダクターゼを抑えてテストステロンと結びつきにくくする作用があり、DHTが生成されるのを防ぐことでAGA改善が期待できます。両者の作用は非常によく似ていますが、次のような違いがあります。

フィナステリド錠

前立腺肥大症を治療する薬として開発され、のちにAGA治療にも使用されるようになった医薬品です。5αリダクターゼのⅡ型を抑制する作用があり、「プロペシア」の商品名で販売が開始されました。現在はジェネリック医薬品も販売されており、国内外で広く普及しているAGA治療薬です。

デュタステリド錠

比較的新しく開発・販売された治療薬です。5αリダクターゼのⅡ型だけでなくⅠ型にも作用するのが特徴で、フィナステリド錠より広い範囲の薄毛に適用できるとして注目されています。日本では「ザガーロ」の商品名で流通し、最近ではジェネリック医薬品の販売もスタートしています。

5αリダクターゼ抑制が期待できる食物やサプリメント


上記で紹介した治療薬のほかに、日常的に摂取する食べ物や飲み物、サプリメントを利用することで5αリダクターゼの働きを鈍くできるという見解もあります。ここでは、5αリダクターゼ抑制が期待できる食物やサプリメントについて5点紹介します。

1.ノコギリヤシ

北米や中米に自生し、滋養強壮効果や前立腺肥大を改善する作用があると伝えられてきた植物です。近年ではノコギリヤシに含まれるβシトステロールやオクタコサノールに5αリダクターゼを抑制する働きが期待できることが分かり、主に薄毛防止サプリメントに配合されることが多くなっています。サプリはあくまでも栄養補助食品ですが、気軽に摂取できるメリットがあります。

2.緑茶・ウーロン茶

緑茶やウーロン茶などに含まれるカテキンには、5αリダクターゼの作用を抑える働きがあると考えられています。後述するイソフラボンや亜鉛と組み合わせて摂取するとさらに作用が期待できるという見解もあります。また、カテキン内に含まれる「エピガロカテキンガレート」には毛乳頭の細胞を増殖させる作用が期待できるようです。両者とも馴染みのある飲み物で、生活に取り入れやすい点も魅力です。

3.イソフラボンを多く含む食べ物

イソフラボンは女性ホルモンの一種エストロゲンに似た働きをする成分で、女性のAGA(FAGA)対策に役立つ成分としても有名です。イソフラボンの場合は、摂取することで男性ホルモンとのバランスをとり、相対的にAGAになりにくくなる効果が期待できると考えられています。豆腐や納豆などの大豆製品に多く含まれますので、普段の生活に取り入れやすいのがポイントです。

4.オレンジピール(みかんの皮)

みかんの皮に多く含有されている「D-リモネン」には、5αリダクターゼを抑える作用があると考えられています。みかんの皮をそのまま食べるのは難しいですが、砂糖漬けのお菓子にリメイクしたり、乾燥させて漢方のひとつ「陳皮」として利用すると便利です。陳皮はミキサーで粉砕すると薬味としても使用できますので、好みに合う食べ方を探してみましょう。

5.その他

上記のほかに、亜鉛を含む食べ物やアロエにも5αリダクターゼの抑制や薄毛改善効果があるといわれています。なおアロエについては、原液を地肌に塗布すると効果的という見解があるようですが、頭皮の負担になったり炎症などを起こす恐れがあるため推奨されていません。

5αリダクターゼの状態をチェックする方法はある?


AGA専門クリニックの中には、5αリダクターゼの状態が確認できる遺伝子検査を実施しているところがあります。検査では、主に利用者の頭皮に存在する5αリダクターゼのⅠ型およびⅡ型の発現強度を調べます。検査結果によって、AGAが発症するリスクやフィナステリド錠とデュタステリド錠どちらを使用するかなど治療薬についてもチェックできます。5αリダクターゼだけでなく、DHTを受容するアンドロゲンレセプターの強度を調べられる場合もありますのでチェックしてみてください。

まとめ

5αリダクターゼは、直接的ではないもののAGAの発症に大きく関わっています。自分の5αリダクターゼの状態が気になる場合はクリニックの検査を受けてみましょう。5αリダクターゼについての情報を参考にして、AGA対策や改善に役立ててくださいね。