フィンペシアはインドの製薬会社が製造・販売するAGA治療薬で、薄毛改善に期待できるフィナステリドが配合された内服薬です。フィナステリド錠の先駆けとして有名なプロペシアと有効成分や効果はほぼ同等とされていますが、日本未承認の医薬品となるため入手や服用時にリスクが伴う一面もあります。
今回はフィンペシアの特徴やプロペシアとの違い、個人輸入の注意点や副作用などについて紹介します。
プロペシアとは
プロぺシアといえばAGA治療ではお馴染みの薬ですね。プロペシアは抗アンドロゲン薬であるフィナステリドが有効成分であり、アメリカの製薬会社であるMSD株式会社が販売をしています。この有効成分であるフィナステリドが、悪玉男性ホルモンと言われるジヒドロテストステロンを増加させる5αリダクターゼを阻害するために、プロペシアはAGA治療に効果を発揮するのです。このAGA治療薬であるプロペシアは、世界60各国以上で承認されており、その効果だけではなく安全性も確立されている知名度の高い薬と言えます。
フィンペシアとは
フィンペシアは、薄毛改善に有効とされる「フィナステリド」成分が配合されたインド生まれのAGA治療薬です。フィナステリド配合薬としてポピュラーな「プロペシア」のジェネリック(後発医薬品)として紹介されることもありますが、特許の関係により正確にはインド国内限定で製造販売されている医薬品となっています。日本では未承認のAGA治療薬になるため入手には個人輸入代行を利用する必要がありますが、プロペシアより安価でコストパフォーマンスが高いことから注目されています。
フィンペシアはプロペシアのジェネリックではない?
実はフィンペシアはプロペシアの正式なジェネリック医薬品ではありません。インド製のフィンペシアが特例的に特許が切れる前に製造販売が認められてしまっているのには、インド独自の法律問題や発展途上国の医療や経済問題が根底に潜んでいます。以前、インドでは物質特許が認められていなかったのですが、物質特許が定められた現在でも特殊な事情により特許前に同成分の薬を安価に製造販売することが認められているのです。「インドのフィンペシアは正式なジェネリック医薬品ではないから偽物」という訳でもプロペシアのような効果がないという訳でないんですね。
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許が切れた後に同じ有効成分を配合して製造された薬のことを指します。ジェネリックの他に後発医薬品といった呼び方もされますが、その特徴はなんといっても先発医薬品よりも料金が安いということです。それもそのはず、開発にかかる研究に時間も費用もかかかりませんから、それだけコストを抑えることが出来るからです。しかも、効果はほぼ同等となっていますから、ジェネリック医薬品を希望する人も少なくありません。
こうしたプロペシアと比較した時の費用や効能からすると、フィンペシアはプロペシアのジェネリック医薬品と考えてもおかしくありません。ただし、フィンペシアはプロペシアの特許が切れる前から製造販売をされているという点が、他のプロペシアのジェネリック医薬品との大きな違いです。
プロペシアとフィンペシアの違い
フィンペシアとプロペシアは、有効成分や効果・安全性についてはほぼ同等とされていますが国内での承認や製造国などに違いがあります。ここでは、プロペシアとフィンペシアの比較ポイントを7つに分けて紹介します。
日本での承認
プロペシアは2005年に万有製薬(現:MSD株式会社)が厚生労働省によって製造販売の承認を受け、以来医師の処方箋に従ってクリニックで利用されています。一方フィンペシアについては、今のところ日本国内における承認は受けていない状況です。
成分
プロペシアとフィンペシア双方に配合されている有効成分は「フィナステリド」です。フィナステリドにはAGAを引き起こす「ジヒドロテストステロン(DHT)」を生成する「5α還元酵素」の働きを抑制する作用があることから、薄毛を抑制する効果に期待できるとされています。もともとは前立腺肥大症の治療のために使用されていましたが、副作用として発毛が確認されたため薄毛対策の薬に利用されることになりました。
副作用
プロペシア、フィンペシアともにフィナステリドが配合されているため、起こりうる副作用もほとんど同じと考えることができます。ただ、添加物などに異なる成分が配合されている場合がありますので、フィナステリド以外の成分によって副作用が生じる可能性はあります。フィナステリドによる副作用の詳細については後述しますが、男性機能や肝臓などにかかわる症状が報告されています。
効果
プロペシアとフィンペシアは有効成分が同一であるため、AGAに対する効果もほぼ同等と考えることができます。効果が現れ始める時期もほとんど同じで、服用を始めておおよそ半年以上経過したあとに薄毛改善の効果が出始めるといわれています。
価格
プロペシアとフィンペシアは価格に違いがあります。プロペシアが1錠あたり250円程度なのに対し、フィンペシアは1錠あたり40円程度と比較的安価で販売されています。AGA改善には長期的な治療が必要とされますが、フィンペシアの方が価格も低いため治療が続けやすいといえるでしょう。
製造国
プロペシアとフィンペシアは製造国が異なります。プロペシアはアメリカの製薬会社であるメルク社に、フィンペシアはインドの製薬会社であるシプラ社によって製造・販売されています。
コーティング剤
プロペシアとフィンペシアには「酸化チタン」などのコーティング剤が使用されています。かつてフィンペシアには発がん性が疑われる「キノリンイエロー」という成分が配合されていましたが現在は使用されていません。
キノリンイエローはフィンペシアのコーティング剤に使用されていた成分ですが、一時期同成分が発がん性物質であるという噂が広まったことがあります。実際は、キノリンイエローを錠剤のコーティングとして微量に使用する場合は特に心配はないとされており、日本でも厚生労働省が医薬品に使用可能として定める色素の中にキノリンイエローが含まれています。噂の影響力を懸念したのか、フィンペシアはキノリンイエローの使用を止め他の成分を使用するようになりました。現在販売されている商品のパッケージにも「Quinoline Yellow Free」と表記されています。
フィンペシアに切り替える前に覚えておきたい注意点
フィンペシアには、他のフィナステリド錠同様に未成年や女性が使用できない、献血ができないなどの注意点があります。ここでは、フィンペシアに切り替える前に知っておきたい主な注意点について紹介します。
1.女性や未成年者は服用できない
フィンペシアは成人男性用のAGA治療薬のため、女性や未成年者が服用することはできません。誤って使用すると健康被害が起きる恐れがありますので、手の届かない場所に保管してください。
2.妊娠中や妊娠の可能性のある女性が触れない場所に保管する
妊娠中や妊娠の可能性のある女性がフィナステリドに触れると、男子胎児の生殖器などの生育に影響を及ぼす恐れがあります。フィナステリドは皮膚からも吸収される性質があるため、該当する女性が触ることがないよう十分に注意してください。
3.服用中は献血できない
フィンペシア服用中は献血ができません。妊娠中や妊娠の可能性のある女性にフィナステリドが含まれた血液が輸血されるのを防ぐため、フィナステリド錠服用者は薬の服用を停止して一か月以上経過してから献血することができるとされています。なお、服用中に献血してしまった場合は必ず日本赤十字社に連絡しましょう。
フィンペシアの副作用
フィンペシアで起こりうる副作用は、プロペシアやプロペシアのジェネリック品とほぼ同等と考えられています。ここでは、フィンペシアの副作用として生じる主な症状について紹介します。
1.男性機能への影響
フィンペシアの有効成分であるフィナステリドは、性欲減退や勃起不全(ED)など男性機能にかかわる副作用を引き起こす可能性があります。また、無精子症や精子量減少・射精障害などが起こる例も確認されており、男性不妊を引き起こす要因のひとつとされることもあります。男性機能の低下はストレスや加齢が原因である場合もあるため心配しすぎないことも必要ですが、妊活をしている場合は配偶者や医師に相談し必要に応じて服用を中止するなどの対応を行ってください。
2.肝臓への影響
フィナステリドは肝臓で代謝されますが、人によっては肝機能障害が起こるなどの症状が出る場合があります。AGAクリニックでは定期的な血液検査が実施されるため肝臓への影響をチェックできますが、個人でフィンペシアを利用する場合は発覚が遅れるリスクがあり注意が必要です。
3.前立腺がんにかかわる数値への影響
フィナステリド錠を服用すると、前立腺がん検査でチェックするPSA値が50%程度低下することが分かっています。検診などでPSA値を計る際は、必ずフィナステリド配合薬を服用していることを伝えましょう。
4.その他
上記の症状のほかに、抑うつ症状や肌のかゆみ・じんましん・乳房の肥大やめまいなどの症状が起こるケースもあるようです。フィンペシアで重篤な副作用が生じても自己責任となりますので、心配な場合は国内認可済のプロペシアもしくはプロペシアのジェネリック品を服用しましょう。
フィンペシアはamazonや楽天でも買える?
フィンペシアは国内未承認の海外医薬品となるため、Amazonや楽天といった国内の通販サイトでは販売されていません。フィンペシアを入手したい場合は、海外医薬品を取り扱う個人輸入代行の通販サイトを利用することになります。個人輸入代行のサイトには様々な種類がありますが、長年に渡る運営実績があることや利用者が多いこと、成分鑑定書や運営者情報が明記されているなど信頼性や安全性が高いショップを選ぶことが奨励されています。
個人輸入代行の注意点
フィンペシアに限らず、国内未承認の医薬品を個人輸入する際は偽物や粗悪品が届いたり、予期せぬ副作用や健康被害が生じるなどのリスクがあるため注意が必要です。用法容量や注意事項が外国語で記載されているため、正しい使い方が分かりにくいという一面もあります。また、国内で認可されていない医薬品によって重篤な副作用に見舞われた場合は、公的な救済制度である「医薬品副作用被害救済制度」を利用することができません。プロペシアのジェネリックは国内メーカーからも販売されていますので、医師の処方に従って安全性が確認されているフィナステリド錠を使用することをおすすめします。どうしてもフィンペシアを利用したい場合は、「どんな事態が生じても自己責任」であることを認識しておく必要があります。
まとめ
フィンペシアはプロペシアとほぼ同等の効果が期待できるだけでなく、コストパフォーマンスの高いAGA治療薬といえます。国内未認可の医薬品になるため、利用時には様々な危険性が伴うことを理解しておきましょう。自分に合った治療薬を選んでAGA改善に活用してくださいね。